一点物の価値を支えるシステムづくり。エンドユーザーと近い距離で事業を動かすエンジニアの成長

Engineer

Yuma Oishi

大石 悠真

エンジニア

テクノロジー統括本部 プロダクト開発本部 開発2部

2025年 新卒入社

キャリアパス

  1. 学生時代

    明治大学商学部卒業。大学2年からエンジニア職のアルバイトを開始。2023年夏にバイセルのサマーインターン参加

  2. 1年目~現在

    在庫管理システム「Stock」の開発・運用。グループ会社へのシステム導入や、販路最適化のための機能開発

現在の仕事内容

数千万点の一点モノを管理するシステム開発

私が担当しているのは、在庫管理システム「Stock(ストック)」の開発・運用です。このシステムは、バイセルグループ全体で利用される基幹システムであり、複数の会社が同時に活用できる仕組みを備えています。

このシステムの最大の特徴は、扱うデータの複雑さにあります。バイセルが取り扱う商品はすべて中古品であるため、同じブランドバッグであっても、状態や年代、使用状況によってすべて異なる商品として管理する必要があります。新品であればなら同じバーコードで「10個」と一括管理できますが、中古品では一つひとつの商品に異なるバーコードを付与し、管理する仕組みが求められます。

さらに、商材ごとに必要な情報も大きく異なります。例えば、ブランドバッグであれば品番やシリアル番号、貴金属であれば金の純度(K18やK22)とグラム数、着物であれば袖幅や柄の種類など、それぞれの特性に応じたデータを管理する必要があります。これら多種多様な情報を一つのシステムで統合的に扱うという、まるで巨大なパズルを解くような仕事です。

私は2023年夏にサマーインターンとして3週間参加したのをきっかけに、内定者インターンを経て現在も同じチームで開発を続けています。12〜13人のチームで、和やかな雰囲気の中にも、やるべきことをしっかりと遂行するプロフェッショナルな環境が整っています。このチームで働くことで、技術的なスキルだけでなく、チームワークやコミュニケーションの重要性も学んでいます。

入社時の自分への期待

作ったものの価値を見届けたいという想い

就活活動を進める中で、私がエンジニアとして働く上で大切にしていたのは、「技術だけに閉じこもるのではなく、自分が作ったものがどのような価値を生み出しているのかを見届けたい」という想いでした。

就職活動中に船橋のロジスティクスセンターを見学した時、そこには想像を超える量の商品が並んでおり、「これをすべて一つのシステムで管理するのか」と驚いたのを覚えています。また、買取、販売、鑑定といった多岐にわたる業務領域の広さと深さにも圧倒され、「この環境ならエンジニアとして挑戦できる余地が無限にある」と感じました。さらに、バイセルのエンジニアとして働く魅力は、エンドユーザーとの距離の近さにあります。私たちが開発するシステムを主に利用するのは、社内の査定士やロジスティクスセンターのメンバーです。そのため、現場に足を運び、直接フィードバックをもらう機会が多くあります。現場では要望だけでなく、「期待してるよ」といった励ましの言葉をもらうこともあり、自分の仕事が現場でどのように役立っているのかを実感できます。

このように、バイセルでは「作ったものの価値を見届ける」という私の理想の働き方が実現できています。エンジニアとしての専門性を磨きながら、現場と密接に関わり、価値を生み出すプロセスに直接携われることに、大きなやりがいを感じています。

印象的な仕事

チームの壁を越えて実現したシステム連携

入社してからの成長を振り返ると、技術力の向上以上に、コミュニケーション能力や調整力といった「ソフトスキル」の成長が大きかったと感じています。特に印象に残っているのが、買取業務を支える別システムの開発チームと連携したプロジェクトです。このプロジェクトでは、買い取られた商品を私たちの在庫システム「Stock」にスムーズに連携させる仕組みを構築する必要があり、別チームとの協力が不可欠でした。

プロジェクトの進行中、期限が迫る中で、何が決まっていて何が未定なのかを整理し、毎週の定例ミーティングで着実に物事を前に進めていくことが求められました。そのため、議題の準備やファシリテーション、共通認識を作るための資料作成など、技術以外のスキルを多く身につける機会となりました。

急成長する事業の最前線では、オペレーションが刻一刻と複雑化していきます。そのような環境だからこそ、多様な関係者を巻き込み、チームとしてプロジェクトを推進する力が磨かれるのだと実感しました。単にコードを書くことにとどまらず、その先にある事業全体を動かしているという感覚を持てることが、バイセルで働くエンジニアの仕事の大きな魅力だと感じています。

困難と打開

「好きに作る」から「使う人のために作る」へ

入社当初は、機能の実装に時間がかかったり、コードレビューで多くの指摘を受けたりと、なかなか成果を出せない時期がありました。振り返ると、学生時代の「好きに作る」感覚が抜けていなかったのだと思います。

「Stock」のデータ構造は非常に複雑で、慎重に設計しなければ簡単に不整合が発生してしまいます。例えば、既存のシステムから新しいシステムに移行する際には、ユーザーの使い心地を考慮しながら、データの正確性も担保しなければなりません。この両立は非常に難しく、当時の私にとって大きな課題でした。

転機となったのは、メンターやチームメンバーからのアドバイスでした。「まず設計段階をしっかりやろう」という助言を受けてからは、コードを書く前に必ず全体像を図に起こし、考えられるパターンを洗い出すようにしました。このプロセスを徹底することで、システム全体の整合性を保ちながら、ユーザーにとって使いやすい設計を実現できるようになりました。

この経験で学んだのは、「学生エンジニア」と「仕事としてのエンジニア」の違いです。個人開発では自分が納得すればそれで良いかもしれませんが、仕事では実際に使う人の視点を常に考慮する必要があります。この視点の転換が、私をエンジニアとして大きく成長させてくれました。

バイセルで働く魅力

挑戦を応援してくれる環境と「正解にする力」

バイセルの最大の魅力は、挑戦を推奨する文化にあります。特に、自分の実力を少し超えるような、1.2倍から1.3倍程度の背伸びが必要なタスクを「その過程で成長してほしい」という期待とともに任せてもらえる点が特徴的です。現在、私がメインで担当しているのは、グループ内の異なるテナント間で在庫を行き来させる機能の開発です。このプロジェクトは、会社の中期経営計画にも関わる重要な取り組みであり、新卒の私にこれほど影響力のある仕事を任せてもらえることに、大きなやりがいを感じています。

就職活動中に社員の方から言われた「正解にする力がある」という言葉も、今の支えになっています。エンジニアの仕事では、技術選定や設計の段階で迷うことが多々あります。しかし、「選ばなかった選択肢を後悔するのではなく、自分が選んだ道を正解に変えていく」という姿勢が、バイセルのエンジニアらしさだと感じています。また、技術の勉強会が活発で、最近ではAIの活用について毎週のように議論が行われています。技術トレンドが日々変化する中で、組織全体で学び続ける文化が根付いていることも、バイセルで働く大きな魅力の一つです。

今後のビジョン

AIで広がる可能性と、キーパーソンという目標

目の前の目標は、在庫管理システム「Stock」をグループ全体で導入し、すべての会社で活用してもらえる状態にすることです。現在、まだ完全には導入できていない会社もあるため、これをしっかりと完成させることが最優先です。この目標が実現すれば、グループ全体の基盤として大きな価値を生み出せると信じています。

その先には、AIを活用した新しい挑戦が見えています。現在、AI査定によって買取業務が効率化が進んでいますが、買取量が増加すれば、ロジスティクスセンターで扱える物量にも限界が訪れるでしょう。物理的な制約がある以上、システムだけでは解決できない課題もありますが、AIを駆使してどのように最適化できるか、さまざまな可能性を模索しています。

CTOの今村からも「AIエージェントを活用してほしい」とお墨付きをもらっており、組織全体でAIの可能性を探る段階にあります。

私の最終的な目標は、バイセルにとっての「キーパーソン」になることです。担当領域にとどまらず、バイセル全体にとって「大石がいたから変わった」と言われるような結果を残したいと考えています。これからも挑戦を続け、技術の専門家として、そして事業の価値を見届ける当事者として、バイセルの成長に貢献していきます。